請求書の電子化の始め方 —
紙・郵送からの移行ステップと取引先への案内文例
請求書を印刷して、押印して、封筒に入れて、切手を貼ってポストへ——この一連の作業、毎月何時間かかっているでしょうか? 請求書の電子化は「いつかやろう」と後回しにされがちですが、実は移行のステップは単純で、始めた月からすぐに効果が出ます。この記事では、紙・押印運用からの電子化の進め方を、取引先への案内文例とあわせて解説します。
紙の請求書運用にかかっているコスト
| 作業・費用 | 紙・郵送の場合 | 電子化した場合 |
|---|---|---|
| 印刷・封入・投函の作業 | 1通あたり5〜10分 | なし(メール送付) |
| 郵送費・封筒・用紙代 | 1通あたり150〜200円程度 | なし |
| 到着までの日数 | 投函から数日 | 即時 |
| 控えの保管 | 紙のファイリングと保管場所 | データ保存(保存要件あり) |
| 再発行・修正 | 印刷・郵送からやり直し | PDFの再送付で完了 |
月20通なら郵送実費だけで年間4万円前後、作業時間は年間20〜40時間に相当します。取引先にとっても、到着が早く紛失しにくい電子請求書のほうが都合がよいケースがほとんどです。なお、請求書への押印はもともと法的な義務ではないため、「印鑑を押せないから電子化できない」という心配は不要です。
電子化の3ステップ
ステップ1: 請求書をPDF化する
まずは、いま使っている請求書をPDFで出力するところからです。エクセルや請求書作成ツールからPDF形式で保存し、ファイル名は「請求書_取引先名_2026年7月分」のように、あとから探せる規則で統一します。紙で郵送する取引先が残っていても、原本をPDFにしておけば控えの管理は一本化できます。
ステップ2: メールで送付する
PDF化ができたら、郵送をメール送付に切り替えます。送付前に取引先へ案内を送り、了承を得てから切り替えるのがマナーです。メール送付の件名・本文の書き方や誤送信を防ぐ運用は請求書をメールで送るには?マナー・文面例と自動送付のやり方で詳しく解説しています。
ステップ3: 発行から送付までをシステム化する
メール送付に慣れたら、毎月の生成・送付そのものを請求書システムに任せます。手作業のPDF作成と添付送信は、宛先間違いや添付漏れのリスクが残るため、毎月同じ請求が続く取引先から順にシステム化していくのが定石です。
取引先への案内文例
件名: 請求書の電子送付への切り替えのご案内
このたび弊社では、請求書の発行方法を見直し、◯年◯月分より郵送に代えてPDFの電子送付(メール添付)へ切り替えさせていただきたく、ご案内申し上げます。
・切り替え時期: ◯年◯月分の請求書より
・送付方法: PDFをメールに添付してお送りします
・送付先: 現在の請求書のお届け先ご担当者様のメールアドレス
内容はこれまでの請求書と同一です。送付先のご指定や、引き続き郵送をご希望の場合は、お手数ですが◯月◯日までにご連絡いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
一斉に切り替えるのではなく、了承を得られた取引先から順に切り替えれば十分です。郵送指定の取引先が数社残っても、全体の作業量は大きく減ります。
保存要件だけは先に押さえる — 電子帳簿保存法
電子化で唯一注意が必要なのが保存のルールです。メールで受け渡しした請求書PDFは電子取引のデータにあたり、電子帳簿保存法により、紙に印刷しての保存ではなくデータのままの保存が求められます。改ざん防止の措置や、日付・金額・取引先で検索できる状態にしておくことなどの要件があります。保存期間とあわせて請求書の保存期間は何年?電子帳簿保存法の基本ルールで解説しているので、切り替え前に一読しておきましょう。
生成から送付まで自動化すると電子化が完成する
Maido請求では、毎月の請求書がPDFで自動生成され、取引先へのメール送付まで自動で行われます。手作業のPDF作成・添付・宛先確認がなくなるため、電子化の最終形である「毎月何もしなくても請求書が届いている」状態まで一気に進められます。
まとめ
- 紙運用のコストは郵送実費と作業時間の両方。押印は義務ではなく、電子化の障害にならない
- 移行はPDF化 → メール送付 → システム化の3ステップ。了承を得た取引先から順に切り替える
- 切り替え前に案内を送り、送付先アドレスと希望を確認する
- メールで受け渡しした請求書はデータのまま保存が必要。保存要件だけは先に確認しておく
※ 電子帳簿保存法の保存要件の詳細や自社の保存方法が要件を満たすかどうかは、国税庁の公式情報をご確認のうえ、税務署または税理士にご相談ください。