免税事業者の請求書の書き方 —
登録番号なしの記載例と消費税の表記

インボイス制度が始まってから、「登録していない自分は請求書をどう書けばいいのか」という戸惑いをよく耳にします。結論からいえば、免税事業者(適格請求書発行事業者に登録していない事業者)は従来どおりの請求書を発行すればよく、特別な書式は必要ありません。この記事では、免税事業者の請求書で守るべきポイントと消費税の表記、取引先から登録を求められたときの考え方を整理します。なお、登録済みの場合の書き方は適格請求書(インボイス)の記載事項6つ — 記入例つきでわかりやすく解説で解説しています。本記事はその対になる「未登録の場合」の記事です。

免税事業者の請求書に書くこと・書かないこと

もっとも重要なルールはひとつだけです。登録番号を書かないこと。適格請求書発行事業者でない者が登録番号(または登録番号と誤認されるような番号)を記載することは禁止されています。存在しない番号を作って書くのはもちろん、他者の番号を借りることもできません。

それ以外は、従来の区分記載請求書としての記載事項をそろえれば十分です。

  • 発行者の氏名または名称
  • 取引年月日(月まとめなら「◯月分」でも対象期間がわかれば問題ありません)
  • 取引内容(軽減税率の対象がある場合はその旨)
  • 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
  • 宛名(交付を受ける事業者の氏名または名称)

つまり、これまで使っていた請求書から登録番号の欄を外すだけで、記載としては成立します。

消費税はどう表記する?

「免税事業者は消費税を請求してはいけないのでは」と心配される方がいますが、免税事業者が税込価格で請求すること自体は禁止されていません。免税事業者も仕入れの際には消費税を負担しており、価格に転嫁すること自体は取引上の価格設定の問題です。

表記の方法は主に2つあります。

表記方法記載例補足
税込総額のみを書く 業務委託料(7月分)110,000円 もっともシンプル。内訳を書かない分、誤解も生じにくい
本体と消費税相当額を区分する 小計100,000円+消費税10,000円 従来の書式のまま使える。ただし適格請求書と誤認される表記は避ける

どちらの書き方でも構いませんが、登録番号がないのに「適格請求書」という表題を付けるなど、登録事業者であるかのような誤認を招く表記は避けましょう。

取引先から「登録してほしい」と言われたら

取引先が課税事業者(原則課税)の場合、免税事業者への支払いは仕入税額控除が満額では受けられないため、登録を求められることがあります。ただし、登録すべきかどうかは一律に決まりません。

  • 主な取引先が一般消費者や免税事業者・簡易課税の事業者なら、登録しなくても取引への影響は小さい場合があります
  • 登録すれば課税事業者になり、消費税の申告・納税の負担が新たに発生します
  • 免税事業者であることを理由にした一方的な値下げの強要などは、独占禁止法や下請法上問題になり得ます

売上構成・取引先の顔ぶれ・事務負担のバランスで判断が分かれるため、迷う場合は売上や取引先構成の具体的な数字を持って税理士や税務署に相談するのが確実です。

経過措置の概要 — 相手側は一定割合を控除できる

取引先の立場では、免税事業者からの仕入れであっても、経過措置により仕入税額相当額の一定割合を控除できます。2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%です。「未登録だと取引先はまったく控除できなくなる」わけではない点は、価格交渉の際に知っておきたいポイントです。

POINT 免税事業者の請求書で実務上いちばん多いミスは、市販テンプレートの登録番号欄に手を付けず空欄のまま送ってしまい、取引先から問い合わせが来るケースです。使わない欄は削除し、自分の状況に合った書式を固定してしまいましょう。

毎月の請求は書式ごと固定してしまう

登録番号の有無や消費税の表記は、一度決めたら毎月変わるものではありません。毎回手作業で書式を整えるより、発行者情報として一度設定し、毎月同じ形式で自動生成されるようにしておくほうが確実です。

Maido請求では、発行者情報や税率の設定に応じた請求書が毎月自動で生成・送付されます。登録番号は設定した場合のみ記載されるため、免税事業者のまま使い始めて、将来登録した際に設定を追加することもできます。

まとめ

  • 免税事業者の請求書は従来どおりでよい。登録番号を書かないことだけ守る
  • 税込での請求は可能。総額表記でも本体+消費税相当額の区分表記でも構わない
  • 登録の要否は取引先の構成と事務負担次第。求められても即断せず税理士に相談を
  • 経過措置により、取引先は2026年9月末まで80%・その後2029年9月末まで50%を控除できる

※ 本記事は一般的な制度の概要をまとめたものです。適格請求書発行事業者への登録の要否、消費税の表記や価格設定に関する個別の判断は、税務署または税理士にご確認ください。

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