請求漏れの洗い出し方 —
契約一覧と請求実績を突き合わせる月次点検の手順

「この契約、先月ちゃんと請求したっけ?」——ふとした瞬間に不安になったら、一度腰を据えて過去分を点検する価値があります。請求漏れは売上の取りこぼしそのものであり、発覚が遅れるほど回収のハードルが上がるからです。この記事では、過去の請求漏れを洗い出す具体的な手順と、漏れが見つかったときの対処を解説します。なお、これから先の漏れを未然に防ぐ方法は請求書の送り忘れを防ぐには?で扱っており、本記事は「すでに起きているかもしれない過去分の点検」に絞ります。

請求漏れはなぜ気づかれないのか

請求漏れの怖さは、誰からも指摘されないことです。取引先の経理は「来た請求書を払う」のが仕事であり、来ていない請求書を催促してくれることはまずありません。特に漏れやすいのは次のパターンです。

  • 契約開始月や更新月など、通常の請求サイクルから外れたタイミングの請求
  • 毎月の固定契約に上乗せするはずだった追加作業・スポット対応の請求
  • 担当者の交代や繁忙期をまたいだ月の請求

いずれも「本来請求すべきだったのに、請求書という形にならなかった」ものなので、請求書の控えをいくら見返しても見つかりません。契約側から突き合わせるのが洗い出しの基本です。

洗い出しの手順 — 月次マトリクスを作る

手順1: 契約の棚卸し

まず、請求の根拠になる契約をすべて一覧にします。契約書・発注書・メールでの合意まで含めて、「取引先名・内容・金額・請求サイクル・開始月と終了月」を書き出します。ここに載らない契約の漏れは見つけられないため、この棚卸しがもっとも重要な工程です。

手順2: 縦に契約・横に月のマトリクスを作る

表計算ソフトで、縦に契約、横に点検対象の月(直近12か月など)を並べた表を作ります。

契約4月5月6月7月
A社 保守契約(月50,000円)
B社 運用代行(月80,000円)漏れ?
C社 スポット改修(6月合意)漏れ?

手順3: 請求実績で埋めて空白を特定する

発行済み請求書の控えを日付順に見ながら、マトリクスの該当セルを「済」で埋めていきます。契約が生きているのに空白のセルが、請求漏れの候補です。最後に、候補について「請求不要の合意があったか」「入金だけ先に受けていないか」を確認し、本当の漏れを確定させます。

漏れが見つかったときの遡及請求の仕方

過去分の請求は、黙って請求書だけ送ると取引先の経理を混乱させます。次の3点をセットにして連絡します。

  1. お詫びと経緯の説明 — こちらの請求手続きの漏れであることを認め、対象の契約・期間・金額を明示する
  2. 請求書の対象期間を明記 — 品目に「◯◯業務(2026年5月分 / 請求漏れ分)」のように対象月を書き、当月分と混ざらないようにする
  3. 支払時期の相談 — 取引先の予算・締めの都合もあるため、支払期日は一方的に指定せず相談ベースで決める

古い漏れについては、債権の消滅時効にも注意が必要です。売掛金の時効の考え方は売掛金の時効は何年?で解説しています。

POINT 遡及請求は、期間が短いほど話がこじれません。「半年前の分をまとめて」となると取引先の決算をまたぐこともあり、支払ってもらえたとしても、先方の心証を損ないかねません。点検は一度きりの大掃除で終わらせず、翌月からは漏れが起きない仕組みに切り替えることまでを1セットと考えましょう。

点検そのものを不要にする仕組み化

マトリクスによる点検は有効ですが、毎月手作業で続けるのは現実的ではありません。根本対策は、点検の起点だった「契約一覧」をそのまま請求の起点にしてしまうことです。契約ごとに請求内容と請求日を登録し、毎月の請求書を契約から自動生成する運用にすれば、「契約はあるのに請求書がない」という状態が構造的に起きなくなります。

Maido請求では、取引先ごとに継続請求を設定すると、毎月の請求書が自動で生成・送付され、送付できなかったものだけが確認待ちに残ります。契約と請求が常に1対1で対応するため、月次マトリクスで点検する作業自体が不要になります。

まとめ

  • 請求漏れは取引先から指摘されない。請求書の控えではなく契約側から突き合わせて洗い出す
  • 契約の棚卸し → 縦に契約・横に月のマトリクス → 請求実績で埋めて空白を特定、の3手順で点検する
  • 遡及請求はお詫びと経緯の説明・対象期間の明記・支払時期の相談をセットにする。古い分は時効にも注意
  • 点検は一度で終わらせ、契約から請求書が自動生成される仕組みに切り替えるのが根本対策

※ 遡及請求の可否や消滅時効の判断は契約内容・経過期間により異なります。個別の対応については、必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。

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